私をヴェネチア・ビエンナーレに連れてって(仮)

展覧会の感想や気になったことを書き留めて、整理する場所として使います。

King Gnuにまんまと骨抜きにされた話

市役所の研修で、20代前半の保育士さんと一緒にグループワークの研修を受けたのが昨年の9月ごろ。
休憩時間になぜか好きな音楽の話になり、そこで初めてKing Gnuの読み方を知った。


「きんぐぐにゅ、じゃないんですね」

 

そこから半年近く経って、今、ようやく、King Gnuにハマってしまいました。
高校生に人気のあるバンド聴くとか恥ずかしいと思ってたけど、自分も歳とったなと思う。
バンドにハマるとか、もうこの先絶対ないだろうな、、、
ミッシェルとか東京事変に猛烈に取り憑かれていた頃には、一生戻れないだろうな、、
と思いながら、この数年生きていたので自分でもびっくりしている。

コロナが与えた暇のおかげで、Apple MusicやYoutubeを物色する時間ができたおかげである。
やっぱり人生をよりよく生きるには暇が必要だと改めて感じた。


しばらくして冷静に分析してみると、King Gnuへのハマり方は、東京事変にハマった時とほぼ一緒ということに気づいた。
東京事変を好きになったきっかけは、ドラムだった。
フィル、プレイスタイルが気になって、ずっと聴いていたらハマっていた。
King Gnuの場合は、グロッケンの使い方がものすごくひっかかって、ずっと聴いているうちにハマっていた。

車のCMで使われている「小さな惑星」という曲の、何拍目なのかよくわからないところで、グロッケンがちゃりん、と鳴るのがものすごく気になってしまった。


「なんだ、このいい肉にこだわりの岩塩をパラっとかけるようなグロッケンの使い方は・・・」
「これは何拍目なのか絶対に突き止めたい」

と思って繰り返し聴いているうちに、何拍目なのかはもうどうでもよくなって、次にドラムが気になっていた。
グロッケンの使い方よりも、興味の方向がだんだんドラムのグルーヴ感の方に向かっていった。
こういうグルーヴ感出せるバンド好きだったなぁ、私もこういうドラム叩けるようになりたかったな、と。
そして気づいたら10年ぶりくらいに楽器屋に足を運んでいて、自分でもよくわからないうちにスティックと勢喜遊表紙のドラムマガジンを手にしていた。
もう少しで40万の電子ドラムを買ってしまうところだった。


わたしは完全に骨抜きにされてしまった。


トドメはオールナイトニッポンでのカブトムシだった。
aikoオールナイトニッポンをリアルタイムで聴いていた世代なので、この企画にはドンピシャで心を撃ち抜かれてしまった。
King Gnuに、音楽をよく聴いていた10代の頃まで連れ戻されるのは時間の問題だった。

完全に堕ちたわたしは全曲をしみじみと聴くようになった。
そこで気づいたのは、やっぱりいろいろな音楽の影響が背景に読み取れるから面白い、ということだった。

正確に言えば、King Gnuはきちんと先行研究にあたって研究してきた、と言ったほうがわたしとしてはしっくりくる。

King Gnuがすごいのはただ東京芸大出身だからじゃない、文化的再生産の極みみたいな生い立ちがあるからじゃない、いろんな音楽の素養を持ったメンバーがいるからじゃない、それだけじゃないと思う。

過去の様々な音楽を参照して、それをきちんと整理して、そこからオリジナリティが生み出されている、その積み重ねと道筋がすごいんだと思う。
いろいろな音楽の影響を受けているなんていう、ふんわりしたものではなくて、明確な意図をもって自分たちのオリジナリティを生み出すために、過去の音楽(先行研究)にあたっているようにわたしは受け取った。
やっぱり身につけた教養を使いこなせるかどうかが大事なんだな、と感じざるを得ない。

そういうところがなんとなく東京事変を彷彿とさせるから、東京事変好きだったわたしはまんまと堕ちてしまったのだと思う。


それから、きれいな高音ボーカルと泥臭いボーカルの二段構えはずるい。
もしボーカルがどちらか一人だったら、こんなにハマってない。
チバユウスケのしゃがれた声で育った身としては、めちゃくちゃ刺さりまくりました。

 


そういうわけでわたしは、音楽にもうのめり込むことはないと思っていた日常から、コロナをきっかけに、音楽を開拓したい気持ちでいっぱいのパラレルワールドに連れてこられました。

睡眠時間や食事の時間を削ってでも開拓したい、自分も何か頑張りたい、というところまで、モチベーションがぶち上がってしまって怖いです。
おかげで2kg痩せました。
行き詰まっていた研究も刺激をうけて、いろいろひらめいて一気にはかどっていて、なんだか怖いくらいです。

ものすごい忘れられない30代の幕開けになりました。
これから先どうなるんでしょうね?

とりあえず今年は学会の大会にエントリーして、無事に報告するところまで頑張りたいと思います。
King Gnu、ありがとう。ありがとう。これからも楽しみだ。

 


King Gnu - Teenager Forever